ページトップへのバック用アイコンTOP > 箱庭の賢治氏
第一話十六章 分岐点

銀河鉄道の出発点は、銀河ステーションで、「白鳥座」の中。そして、再び現世へと帰ってくる終点は、「南十字星」を過ぎたところとなる。
それを、銀河に沿って、簡易図として表示してみる。


星座位置図

(数字は物語に登場する順番。星座線表示は省略。)


ここで、1つの疑問が生じてくる。
上の図の青い湾曲線は、午前2時の地平線であが、盛岡を観測基点とした場合、南十字星等は見ることができない。
また、この銀河に沿った軌跡で進んでいるとすれば、登場する星座の順番については、若干不自然な感じがする。
そこで、この略図に時間軸を加えて表してみることにする。


時間グラフ


銀河鉄道に登場する星座は、ランダムに選択されたものではなく、実際の星座表に基づいて登場していることがわかる。
そして、「鷲の停車場」とは、北半球と南半球の分岐点であることが推測できる。

「午前2時」は「丑三つ時」であり、現世と霊界が交差する時間でもある。
つまり、賢治氏は、このことも考慮にいれながら、この時間を「北半球と南半球」、あるいは「現世と霊界」の接点と考えたのであろう。

「鷺の停車場」で、「その振子は風もなくなり汽車もうごかずしずかなしずかな野原のなかにカチッカチッと正しく時を刻んで行くのでした。」と表現された場所は、まさしく「三途の川」のだったのである。
ここを過ぎてしまえば、いかに、ゼウスといえども、死者を蘇らせることができない。
そして、後戻りすることもできない。

次章では、この「鷲の停車場」を星座表に表してみることとする。


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