「活版所」と「自宅」の見当がついたところで、ジヨバンニの軌跡を辿ってみることにする。
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これは、活版所を後にしたジョバンニがパン屋へと寄り、自宅へ帰った軌跡を示してみたものである。
今まで、位置的に不自然かと思われたパン屋までもが見事に繋がった。
つまり、松本清張氏の作品に例えるなら、まさしく「点と線」である。
しかし、「家へは帰らずジョバンニが町を三つ曲ってある大きな活版処に」という一節が、学校を絞り込むのを阻んでいるのである。
これが、「家の前を通り過ぎて大きな活版処」というような表現にでもなっていれば、ある程度の推測はつくのであるが、賢治氏の表現であると、どのようにでも解釈できてしまうからなのである。
ただし、これについては、ポプラの並木が、大きな意味をもつことになるのである。
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