賢治氏が、この物語を明治43年の盛岡市を舞台にしたものなのか、あるいは昭和6〜8年頃のものにしたのかは、現段階では判断できない。
そして、この物語には「パン屋」と「時計屋」が登場する。
賢治氏が中学3年であった明治43年8月、中津川が台風のため氾濫し、盛岡市は甚大な被害を受けている。
そして、翌月9月、同室の親友藤原健次郎氏の死に直面。
更に、中学4年であった明治45年、東北地方は大凶作に見舞われている。
このような情勢の中、盛岡市内にパン屋が実在するはずもなく、キリスト教的なものから、パン屋は教会をイメージして設定したものと考えていたのであるが、盛岡市内にパン屋は実在していたのである。
以下のイラストは、第十二章のものに、その店を追加してみたものである。
|