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第二話十七章 学校
この物語の舞台は、明治43年〜昭和9年の盛岡を舞台としたものであり、街中の登場場所については、全て実在したものに違いないという確証を得たのであるが。。。


学校1学校2
学校3学校4


上のイラストは、大正9年刊行の 「盛岡市街府瞰図絵」に、当時実在した学校を示したものである。
明治政府となってから、盛岡市に設立された教育機関は、かなりの数になる。
こうなると、学校を確定して、自宅と丘の位置を推定するということは、非常に難しいことと言わざるを得ない。
消去法により推定していくしかないようである。
しかし、この物語には以下のような先生による授業の進行具合が掲載されているのである。


一、学校

「ではみなさんは、そういうふうに川だと云われたり、乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。」先生は、黒板に吊した大きな黒い星座の図の、上から下へ白くけぶった銀河帯のようなところを指しながら、みんなに問をかけました。

(中略)

「ですからもしもこの天の川がほんとうに川だと考えるなら、その一つ一つの小さな星はみんなその川のそこの砂や砂利の粒にもあたるわけです。またこれを巨きな乳の流れと考えるならもっと天の川とよく似ています。つまりその星はみな、乳のなかにまるで細かにうかんでいる脂油の球にもあたるのです。そんなら何がその川の水にあたるかと云いますと、それは真空という光をある速さで伝えるもので、太陽や地球もやっぱりそのなかに浮んでいるのです。つまりは私どもも天の川の水のなかに棲んでいるわけです。そしてその天の川の水のなかから四方を見ると、ちょうど水が深いほど青く見えるように、天の川の底の深く遠いところほど星がたくさん集って見えしたがって白くぼんやり見えるのです。この模型をごらんなさい。」

「銀河鉄道の夜」より



これは、学校での授業の様子であるが、前半の部分だけ読むと、「尋常小学校」〜「高等小学校」(現在の小学1〜6年生)での授業内容と推測できるのであるが、後半になると、「旧制中学校」を思わせるような内容になっている。
しかし、当時の教育機関は男女別であったことから、女学校を除外し、さらに、この授業内容が理解できるところ、あるいは、拡大解釈をもって、「尋常・高等小学校」を含めたとしても、かなり絞りこめることとなり、最終的には、「中学校」「高等農林学校」「櫻城小学校」「高等小学校」「小学校分室」「城南小学校」のうちのいずれかであろう。

おことわり

上記地図には、一部不適切な表現がありますが、当時の地図によるものをそのまま表示したことによるものです。ご了承ください。


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