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第二話二十三章 原稿の変遷
ジョバンニの自宅の場所の推測はついたものの、他の場所となると、なかなか確証はみつけられない。
これは、最初稿から最終稿に至るまでに、物語の登場場面が変わっているという理由もある。
そこで、最初稿と最終稿では、どのように舞台やその表現方法が変わったのかを先に対比してみることにする。

(本文による対比は こちら に掲載してございます。)

最終稿 最初稿
学校の校門を出る。(町の家々では祭りの飾りつけをしている。) (なし)
町を三つ曲ってある大きな活版処に行く。 (なし)
裏町の小さな家に帰る。(家の入口は三つ並んでいる) (なし)
家を出て、檜のまっ黒にならんだ町の坂を下りていく。
坂の下には大きな街灯が立っいて、向こう側の暗い小路からザリネが飛び出てくる。
綺麗に飾られた街を通って、時計屋の前に出る。
町を通って行くと、電気会社の前には6本のプラタナスの木がある。
町はずれのポプラの木が何本も並んでいるところを通り、牛の居る牛乳屋の黒い門をくぐる。
さっき来た町かのかどを曲がろうとし、向うの橋へ行く方の雑貨屋の前で、ザリネ達に出会う。 十字になった町かのかどを曲がろうとし、向うの雑貨屋の前で、ザリネ達に出会う。
(なし) 檜の中の家には帰らず、北の方の町外れに走っていく。
(なし) 河原がぼっうと白く光っている小さな川に架かっている細い鉄の欄干のついた橋にたどりつく。。
黒い丘の方へ急ぐ。 力一杯走り出す。
牧場の後ろはゆるい丘になっていて、平らな頂が見える。 川の後ろはゆるい丘になっていて、平らな頂が見える。
小さな林の小道を登っていく。
松や楢の林を越えて、頂へと至る。
丘の頂には天気輪があり、街の灯りが見渡せ、野原を見渡すと汽車の音が聞こえる。 丘の頂には天気輪があり、街の灯りが見渡せ、野原から汽車の音が聞こえる。
(銀河ステーション)
丘を走って下り、黒い松の林の中を通り、牧場の白い柵を回って、牛舎にたどり着く。 丘を走って下り、林の中で、ポケットの金貨が鳴るのに気づき、牛乳屋へと向かう。
木のある町を通って大通りを出でしばらく行く。 (なし)
十字路に出て、右手の方には、大きな橋のやぐらが見える。 (なし)

上記概要の内、形容詞・助詞等の表現による違いについては、同一事項としました。


このように、対比させてみると、最初稿から最終稿に至るまでに、変わっていない箇所、最初稿から削除された箇所、そして、最終稿で新たに加えられた箇所、あるいは、その場所の表現方法の変化というものが浮かび上がってくる。
実は、この変遷こそが、天気輪の丘がどこであるかを推測するにあたり、大きな阻害要因となっているのである。


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