三.家
「ザウエルという犬がいるよ。しっぽがまるで箒のようだ。ぼくが行くと鼻を鳴らしてついてくるよ。ずうっと町の角までついてくる。もっとついてくることもあるよ。今夜はみんなで烏瓜のあかりを川へながしに行くんだって。きっと犬もついて行くよ。」 「そうだ。今晩は銀河のお祭だねえ。」 「うん。ぼく牛乳をとりながら見てくるよ。」 「ああ行っておいで。川へははいらないでね。」 「ああぼく岸から見るだけなんだ。一時間で行ってくるよ。」
「銀河鉄道の夜」より
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