あまの邪鬼金のめだまのやるせなく青きりんごをかなしめるらし (大正3年4月)
りんごの樹ボルドウ液の霧ふりてちいさき虹のひらめけるかな (大正4年4月)
東京よこれは九月の青苹果かなしと見つゝ汽車に乗り入る (大正5年7月) 流れ入る雪のあかりに溶くるなり夜汽車をこめし苹果の蒸気 (大正5年10月) つゝましき白めりやすの手袋と夜汽車をこむる苹果の蒸気と (大正5年10月)
宮澤賢治語彙辞典/原子朗氏編著(東京出版)より引用