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第二話三十五章 「北」の謎を解く
ザリネに出逢い、からかわれたジョバンニは、北の方へ走り、「河原のぼうっと白く見える、小さな川があって、細い鉄の欄干のつゐた橋」へと至るのである。
前章で示した「牛乳屋」(外山牧場獣医学舎)と目と鼻の先にある「下の橋」ではおかしなことになってしまうのである。


十字になった町かのかどを曲がろうとし、向うの雑貨屋の前で、ザリネ達に出会う。
檜の中の家には帰らず、北の方の町外れに走っていく。
河原がぼっうと白く光っている小さな川に架かっている細い鉄の欄干のついた橋にたどりつく。
力一杯走り出し、川の後ろがゆるい丘になってる平らな頂が見える場所に到着する。

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これが、橋を渡った後に、北を目指すのであれば、話としては辻褄が合いやすいのであるが、物語では反対に設定されている。
ところが、「盛岡市外鳥瞰図」には、このジョバンニの軌跡を示すものが描かれていたのである。

上の橋拡大図
(橋の外観については 第二話三十二章参照

この橋からは瀬が見れ、ここがジョバンニの行き着いた橋だとすれば、前章で不自然であったジョバンニの軌跡にもかなりの具体性が出てきた。






これが、最初稿における「牛乳屋」から「天気輪の丘」へと向かうジョバンニの軌跡である。
ザリネと出遭う町かどが黒い門の先では、そのままジョバンニは、そのまま北へと向かえなくなり、開運橋の袂の角の方が妥当であろう。
ここでジョバンニに出遭ったザリネ達は、「牛乳屋」(外山牧場獣医学舎)の横を通り過ぎて、そのまま夕顔瀬橋の方へ向かったことになり、第二話三十一章と同様、更に具体性が出てきたことになる。


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